チベット問題

 

中国政府は暴動が発生したチベット自治区入りを事実上制限しており、暴動の詳細は明らかでない。ラサ在住者に電話して聞いた。

 チベット族男性によると、ラサ中心部では15日現在、周辺を公安や武装警察などが封鎖。公安の車両が巡回し、交差点などには銃を持った武装警察官が立っており、外出できない状況という。また、日本人男性によると、ジョカン寺(大昭寺)周辺の八角街にはバリケードが築かれ、周囲を封鎖。14日よりも封鎖区域は拡大された。

 チベット族男性によると、14日の暴動のきっかけとなったのは、当局の警備車両が群衆の中に突っ込んだことだったという。

 男性の同僚は同日午後3時ごろ、ジョカン寺の西にある金谷ホテル近くに展開していた装甲車4台のうち、緑色の1台が群衆に突っ込み、市民が次々に倒れるのを目撃。軍のトラックが倒れていた100人以上を収容して、どこかへ搬送して行った。この後、怒ったチベット族たちが漢族の店などに焼き打ちをかける騒ぎに発展したという。
(2008年3月16日03時37分 読売新聞)


チベットが独立したところで、中国との関係を無視して自立できるわけはないのは自明のことだ。であるならば、中国にとってもチベットの独立を認めることは、決して不利になることばかりではない。中国政府の国際的な評価という点では、そのような方向へ進むことが中国にとっても利益となるはずだ。ちなみに、革命後のレーニン政権が最初にやったことは、帝政ロシア支配下にあったフィンランドの独立を認めたことである。

中国としても、チベット領有にさほど現実的な利益があるとは思えない。チベット領有は、中国政府にとって、実際にはむしろ負担でしかないのではないかと思う。問題は、この地域の問題が中国の「帝国」としての政治的威信に関わることとなっていることにある。

80年代末期から始まるソビエトと東欧「社会主義圏」の相継ぐ崩壊から、中国が得た「教訓」は、多党制や自由な選挙のような政治的民主化や、少数民族の独立を認めること(ソ連の崩壊はバルト三国の独立から始まった)は「帝国」の崩壊につながるということだろう。したがって、そのような「教訓」にしがみついている限り、中国がチベットの独立を認めることは考えられない。

一時的な融和的政策として、漢人ではないチベット人の官僚登用とかはありうるだろう。チベットに限らず、地方政府や官僚の腐敗は激しいようで、そういった腐敗の一掃というようなことも、不満を鎮めるために進められるだろう。

ただ、中央主導での経済開発が進めば進むほど、周辺部である現地の不満や疎外感はかえって深まるということもよくあることである。結局、いずれチベット領有は中央政府にとって、政治的な意味でも経済的負担に見合わぬということが明らかにならざるを得ないのではないかと思う。


追記:チベットは鉱産資源が豊富なのだそうだ。今や中国にとって、経済的価値もかなり大きいようだ。
不勉強であった。(3/17)

ちょっと古いがこういうのを見つけた。
やはり、中央政府漢人)主導での経済開発に対する反発が大きいのだろう。
チベット天然資源の宝庫が危機
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所


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中国政府としては、この二つの問題が連動することを一番恐れているのだろう