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「ナイーブ」という病 (2007.12.28)

 高い国民的人気のもと、「美しい国づくり」 なるスローガンを掲げてスタートした安倍内閣は、「教育基本法」 の改正など、たしかに一定の 「成果」をあげはした。しかし、彼のあまりにも哀れな政治的末路は、彼の 「戦後レジームの見直し」という妄想に対する、国民の圧倒的な反対票の表れとして見ることもできるだろう。

 政治的なリアリズムに欠けたそのようなナイーブさは、どちらかというと、戦後左派の宿痾のようなものだった。そのような例は、50年代のスターリン崇拝や、60年代の文化大革命の礼賛、「社会主義」 諸国に対する幻想と実情への無知など、枚挙にいとまがないくらいだ。

 それに対して、アメリカによる占領からの独立回復をなしとげた吉田茂を、その源流の1つとする戦後の保守勢力とは、良くも悪くも、計算高い政治的リアリズムをこそ信条としていたはずだ。

 しかし、わずか1年で退陣した安倍内閣とそのお友だち議員らの言動を見ると、このような生活者としての国民一般の意識から乖離し、リアルさを欠落させた 「ナイーブ」 という病は、いまや政界全体に無視できない程度に浸透しつつあるようにすら見える。


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↑に書かれていることと、少しつながるかなと思ったので