三浦和義元被告逮捕についてのメモ

日本で行われた一美さん殺害容疑での裁判について言えば、肝心の実行犯が特定されなかった以上、二審の東京高裁で一審の判決を覆した無罪判決が下され、最高裁でも検察側の上告が棄却されて無罪が確定したことはある意味当然のことだろう。
なぜなら、実行犯が特定されなかったということは、「殺人の依頼」についてまったく証明されていないということだからだ。どこの誰だか分からない者に、妻の殺害を依頼したなんて話では、さすがに裁判官も実行犯ではない被告を殺人罪で有罪にするわけにはいかないだろう。
ようやく今になってアメリカの警察が動いたということも、最近になってなんらかの新たな証拠か証言が見つかったからだろうし(これはまだ推測だが)、それは裏返して言えば、当時の証拠程度ではアメリカでも有罪に持ち込むことが難しかったということではないのだろうか。元女優に依頼したという「殴打事件」での刑を終了してシャバに出てきてからも、すでに7年が経っているし、その間にも何度となくアメリカには行っているようだし。

アメリカでの三浦元被告の逮捕を受けて、さっそく当時の弁護人の責任を問うみたいなことを言っている者がいるようだが、無罪判決を下したのは高裁の裁判官であり、最高裁もそれを認めたのだから、そのような非難はまったくの筋違いである。
言うまでもないことだが、裁判において弁護人がどのような主張をしようとも、裁判官がその主張に拘束されるわけではない。弁護人が虚偽の証拠や証言を故意に提出して裁判官を瞞着したというのなら話は別だが、判決についての責任を負うべきなのは裁判官であって、弁護人ではない。
しかし、この逮捕を受けて、刑事裁判での被告側弁護人に対する世間の風当たりはまた強くなるだろう。
なにしろ、この国では現役の弁護士が、光市母子殺害事件弁護団への意味不明な懲戒請求を呼びかけ、煽り立てるぐらいだから (そういえばこの人、今は府知事なのだった)。