似非道徳家=田中康夫の弁

改正国籍法 第三条

父または母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。


新党日本
http://www.love-nippon.com/kokkai_igi.htm

“身勝手な行為”で外国籍女性との間に子を儲けた日本人男性が、婚姻も同居もしないが、日本国籍だけは子供に付与せよ、と法務局の窓口に出向いた場合、写真を添付の書類さえ整っていれば、「届出制」で受理する。それが、今回の「改正」です。しかも、扶養義務の宣誓すら課せられていません。


この問題で、「身勝手な行為」などという道徳家気取りの言葉を持ち出す必要がどこにある。
発端が「身勝手な行為」だろうが、なんだろうが、たとえ男にその後「婚姻も同居も」する気があろうがなかろうが、生まれた子を自分の子として認知するということは、少なくともその子に対する法的責任を引き受けることであり、その意思を示すということだろうが。違うか。
だいいち、「身勝手な行為」などということが、生まれた子に何の関係がある。
国籍法の改正によって、認知された子が日本国籍を有し、日本の法律による保護と権利を受けられるようになるのなら、たとえ父親にその子の母親と婚姻する気があろうがなかろうが、子供と同居する気があろうがなかろうが(それが現実的に不可能な場合だってあるだろうが)、何もせずほったらかしにしておくよりは数段ましだろうが。
それとも、お前は、日本に家庭を持っている男や、帰国後に別の女性と結婚した男が海外の女性に産ませた子を、法的保護も与えずにただ放置しろというのか。お前は、そういった子を救うために指の一本でも動かしているのか。
こういうときに「道徳」を持ち出す者にろくなやつはいない。ただ、俗情に媚びて扇動するための便利な道具にし、ついでに面の皮が厚い自己欺瞞をやっているだけじゃないか。そういう「身勝手な行為」をやるような男は、偽装認知だってやりかねないとでも言いたいのかね。
「人身売買」だの「小児性愛」だのといった全然別の問題を持ち出して反対するやり口も、沖縄の事件のときに、私のほうが連中より君のことを思っているんだよと、猫なで声を出していた花岡某とそっくりだ。
こういうやつのことを「似非道徳家」という。頭が悪いだけじゃない。あきれはてた下衆な男だ。政治に安っぽい「道徳」を持ち込むのは、いつの時代でも悪質なデマゴーグの常套手段ではないか。