zames_maki氏への回答

id:zames_maki氏の下のコメントへの回答
引用はzames_maki氏のコメントから

http://d.hatena.ne.jp/PledgeCrew/20090325#c1238348720

イスラエルアメリカによる「プロパガンダ」は、様々な形であるでしょう。それは、どこの国でも同じこと
日本でもアメリカと同じようにプロパガンダをしているのですか?それは具体的に何ですか?


どのような国家も自らの「利益」を追求するものですから、国内的国際的にいっさいプロパガンダをしていない国を探すことのほうがよっぽど難しいでしょう。

日本を例にすれば、最近の北朝鮮のロケット発射をめぐる政府の動きなどがまさにプロパガンダでしょう。政府による公式のものではありませんが、昨年アメリカの新聞に掲載された「従軍慰安婦」をめぐる意見広告などもその例になります。

>結果的に「プロパガンダ」として作用してしまう−いくらでもあります
結果的プロパガンダの例をたくさんお持ちのようですが、世界の中で貴殿の言う例を示して頂けないでしょうか?


高村光太郎伊東静雄らは、太平洋戦争中に戦争賛美の詩を書きました。彼らには時局便乗の意図はなく、あくまでも詩人としての自己の責任で書いたのかもしれませんが、彼らの詩は、結果としては政府の戦争政策に協力し、若者を戦争に駆り立てるプロパガンダとしての役割をはたすことになりました。


以下の二つの質問については、内容がほぼ同じなので回答は略します。

言いたいことは、最初からプロパガンダを意図し、それを目的として行われたことと、本人の意思や意図を超えて結果的にプロパガンダとして作用したこととを同一視し、ひとまとめにすることは、議論としてはあまりに粗雑であり、「陰謀論」に限りなく近づくことでもあるということです。

私はフィンケルスタインの「ホロコースト産業」などをあげ、「イスラエルの蛮行を容認して堅持している一部のユダヤ人が唯一性を強固に主張している」と某所で書いたのですが、信じていただけますでしょうか?何か疑問がありますか?


あなたの記事については、3月23日の時点で下のようなブコメをつけています。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/zames_maki/20090321

「国連など欧米世界では「イスラエル批判=反ユダヤ主義」というユダヤ人からの非難は相当に通用する」「こうした事を私もつい最近まで知らなかった」いや、それぐらい常識でしょう


なので、あなたがその記事で指摘しているような事実自体は、最初から否定していません。


なお、ホロコーストの「唯一性」に関する議論については、id:hokusyuさん自身が自分の記事へのコメントに返した下の言葉に尽きます。私がつけ加えることはほとんどありません。

「唯一性」についてはその言葉だけで議論しても無意味で、その論者がどのような意味で「唯一性」を使っているかによって、「唯一である」または「唯一ではない」という意味の妥当性がはかれるとずっと言ってます。(中略)


「序列化」と「唯一性」は本来異なる問題です。「序列/唯一」「平等/唯一」「序列/普遍」「平等 /普遍」この軸の中で、議論がどのように揺れ動いてるかということであって、当然ある局面では「唯一でない」という言い方が妥当しうるが、別の局面ではそうではない。フィンケルスタインも、あなたも、その議論の切り分けができていません

http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20090326/p1#c1238318720


ユダヤ人にとってのホロコーストの「唯一性」を、犠牲者の「序列化」や「排他主義」に結びつける者がいるなら、そのことを批判すればいいことです。フィンケルスタインの本については知りませんが、そのことから「唯一性」という概念そのものを否定するのは、批判対象と同じ誤りを逆の形で犯しているに過ぎません。

ユダヤ人にとってそのホロコーストが「唯一無二」であるというなら、それと同等の権利でもって、ロマ人にとっても「唯一無二」としてのホロコーストの体験というものがあるでしょう。

もし、自己にとっての「唯一性」を主張するユダヤの人々が、ロマにとってのホロコーストの「唯一性」をも否定するなら、それは誤りでしょう。しかし、そこまで主張している人というのははたして存在するのでしょうか。私は寡聞にして、そのような人の存在を知りません。

たとえば、ある日本人(和人)がアイヌの人に対して、「君も僕も同じ日本人じゃないか、そこに区別などないよ」と言ったとしたら、相手のアイヌの人は「僕も仲間に入れてくれてありがとう」という感謝をするでしょうか。

場合によっては、むしろ「いや、僕はアイヌ人であって、君らとは違う、勝手に一緒にするな」という返事がかえってくることもあるでしょう。「唯一性」とは本来そういう意味のものです。なお、このことは、最初に野原燐(id:noharra)さんに対して提出した疑問とも重なっています。