2007-01-01から1年間の記事一覧

安倍氏の行動に思うこと

安倍内閣の誕生が、前首相の肝いりによることは公然の秘密と言っていいだろう。自民党総裁選での安倍氏の圧勝は、表立っては当時の彼の国民的人気によるということになっているが、その人気も実際には前首相による様々な引き立てと演出によるものが大きい。…

中野重治 『五勺の酒』

三笠宮家の寛仁親王がアルコール依存症であるということが、宮内庁から発表された。この人の父親は昭和天皇の弟で、戦後大学に入りなおして歴史学を学び、古代オリエント史の研究者としても有名だった人だ。「紀元節」 の復活に反対したこともあって、「赤い…

ほのめかしの政治学

「特定アジア」 という言葉がある。どうやら、この言葉は中国、韓国と北朝鮮という、一部の日本人によって 「反日的」 と言われている三国をまとめて指す言葉として、いつのまにか使われるようになっているらしい。いうまでもないことだが、「特定」 という…

ディーツゲン 『人間の頭脳活動の本質』

ヨーゼフ・ディーツゲン(1828〜1888)という人の 『人間の頭脳活動の本質』(岩波文庫)という著書に、次のような一節がある。近代のある生理学者は次のように言っている。「分別のある人なら誰でも、精神力の座を、ギリシア人のように血液の中に、中世にお…

関曠野 『歴史の学び方について』

関曠野という人がいる。以前から名前だけは知っていたのだが、きちんと著書を読んだことはなかった。で、とりあえず 『歴史の学び方について』 という薄い本を読んでみたのだが、これはなんというか、問題意識は分からぬではないにしても・・・・・・ため息…

対馬斉 『人間であるという運命』

対馬斉という人が書いた 『人間であるという運命』(作品社) という本がある。といっても、たぶんこの人の名前とこの本の名前を聞いて、ああ、あの人のあの本か、とぴんとくる人は少ないと思う。なにしろ、この人が生前に出した本はこの一冊だけで、しかもこ…

だれか注意してやれよ

政権与党というものは、国家機構の中枢を握っているわけだから、実質的には国家において最も強大な権力を握っている組織といってもいいくらいだろう。しかもそれが、長期にわたって権力を独占してきたのだとすれば、その力は非常に強大なものだと言ってもい…

いやな感じ

40年ほど前に亡くなった高見順という作家 (タレントの高見恭子の父親) に、戦前の暗い時代を描いた 『いやな感じ』 という小説があるが、今回の松岡農水相の 「国民の皆様」 に宛てた遺書の最後の言葉を知って、なんだかとてもいやな感じがした。 いうまで…

承認の欲求について

人間的実在性が社会的実在性であるならば、社会は欲望として相互に他を欲しあう欲望の全体となって初めて人間的となる。したがって、人間的欲望、より正確に表現するならば、人間の生成をもたらす欲望は、実在する 「肯定的」 な所与の対象ではなく、他者の…

「声なき声」はどちらを向いているのか

憲法改正の手続きを定める「国民投票法」が、参議院での採決によって成立した。この法律に最低投票率の定めがないことについては、以前から様々な批判が提出されている。これについては、反対派によるボイコット戦術を防止するためといった説明もあるようだ…

宮台真司のトンデモな歴史観

宮台真司の近代史認識がいかにでたらめかを示す例を、MIYADAI.com Blog から引用します。 その点、昔の米国は凄かったよ。例えばGHQの“ホワイト・パージ”。日本が内政外交上の無能力者になったのは米国による“ホワイト・パージ”による所が大きい。“レッド…

ちょっとした追加

人間は自由の刑に処せられている」というのも、サルトルの有名な言葉の一つだが、この言葉は次のような文脈の中に登場する。 いかにも、もし神が存在しないならすべてが許される。したがって、人間は孤独である。なぜなら、人間はすがりつくべき可能性を自分…

サルトル『実存主義とは何か』

G★RDIASというところでサルトルが話題になっていたので、彼の『実存主義とは何か(原題:実存主義とはヒューマニズムである)』をちらちらと読み返してみた。 彼は、無神論的実存主義という自分の思想について、次のように要約している。 たとえ神が存在しな…

美しい国の美しい政府って

国外退去処分が確定した群馬県高崎市のイラン人、アミネ・カリルさん(43)一家は26日、ただひとり残留が認められた長女マリアムさん(18)を残し、イランに帰国する。マリアムさんは保育士になるという夢の実現に向けて短大に通い始めた。一家は25…

演繹主義的論理についての感想

中村礼冶さんの「ニュース逆さ読み」というブログにこんなことが書いてあった。 どちらもどうということのない身の回りの断片が綴られている。今から40年ほど前にさんざん読まされ、私自身も書いたことのあるビラではおよそ考えられない書き方だ。当時のビ…

政治的左翼の愚かさなど今に始まった話じゃない

渡辺京二の『日本コミューン主義の系譜』(1980)に収められた「ローゼンベルクとマルクス」という短文に次のような1節がある。 ローゼンベルクが批判をレーニンへ、さらにマルクスへと遡らせる際の視座は、一口に言ってしまえば労働者民主主義である。(中…

うーん、でもやっぱりね

コメント反映と回答ありましたので、書き換えます。 とりあえず、回答していただいたことには感謝します。 いささか、こちらも性急なことを言っちゃったかなというのは、反省 でも、軍人の論理で言えば、一人のゲリラを殺すために100人の村人を殺しても「…

歴史について

20世紀は「戦争と革命の時代」であるということが言われたことがある。これは、言い換えると「大量死の時代」であると言ってもいいと思う。 第一次大戦、ロシア革命とその後の内戦、さらにスターリンの粛清、辛亥革命後の軍閥の抗争と日中戦争、そしてその前…

立場を超えた客観的真理?

虐殺された人の数をめぐる議論では、たいていの場合、加害者の主張のほうが被害者の主張よりも少ない。これは、死者の数を一つ一つ数えることのできないような場合には、よくあることだ。 かりに死亡者の数がある程度推測できる場合であっても、加害者のほう…