「社会的差別」とはなにか

こことの関連で、「社会的差別」という問題について、ちょっと書きたくなったので書いてみる。結論をあらかじめ述べておくと、種々の「社会的差別」と、たんなる個人的な不利益一般の問題とは、まったく別の問題だということだ。そのへんをごっちゃにしてし…

「正当性」と「合理性」についてのメモ

いかなる行為も、その本人が狂っているかよっぽど愚かでない限り、当事者にとっては合理的なものだ。 たとえば、事件や事故を起こした者が、その場から逃走したり、証拠を隠滅したりという行為も、その本人の立場に立てば、一定の「合理性」はある。とりわけ…

過去記事の発掘

ほぼ一年前に書いた記事 「美しい魂」を持った人 彼は清廉で、私心のない、恐れを知らない人間だった。つねに弱い者、悩んでいる者への同情に心を動かされる、深い詩的な感受性の持ち主でもあった。だが、同時に、主義へのひたすらな献身から一種の狂信者に…

丸山真男について以前書いた記事

楽天でブログを始めてすぐの頃に書いた、丸山真男についての記事。 彼の「日本ファシズム論」と、とくにその中の「亜インテリ論」について触れたもの。 ついでに、宮台についてもちょこっとばかり。 丸山真男と亜インテリ論(1) 丸山真男と亜インテリ論(2) 亜…

丸山真男が「昔のサヨの教祖」だったって?

http://pc11.2ch.net/test/read.cgi/net/1241019914/553 553 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2009/05/16(土) 09:36:04 id:P85aKpOW0 >>551 >「日本には市民革命が起こらなかったからフンダララ」 典型的な「反証不可能な議論」だよな。 そもそも、アメリカの独立…

過去記事の発掘

「特定アジア」なる意味不明な言葉について 楽天のほうで以前に書いたもの ほのめかしの政治学

hagakurekakugoさんの例の発言をめぐって

http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20090503/p1 ここまで来ると思想云々ってより、もはや病気の類ですね。 同じ日本人ってーか、同じ人類だとは思いたくないです。 たしかに、こういう言い回しはあまりいいとは思わない。こういう言い方は好みではないし…

「恣意」という言葉を使った理由

http://d.hatena.ne.jp/PledgeCrew/20090429 世界には様々な問題が存在する。それはいまさら言うまでもないことだ。だが、その様々な問題の中から、ガザ問題を「世界で一番大きな不正義」として押し出すとき、あなたの「恣意」以外に、あなたの非難にはいっ…

野原燐氏の記事へのブコメへの補足

「一番大きな不正義である」というのは「ガザ問題の方が重い」ということとどう違うの。「あっさり」かどうかはどうでもいい。あなたはどういう権利でそんなことが言えるの。それは第三者による「序列化」ではないの http://d.hatena.ne.jp/noharra/20090425…

一般論の正しさと個別の認識の正しさは別の話

http://d.hatena.ne.jp/matsunaga/20090421 まあ、私が違和感を覚えるのが「物事は白か黒かだ」「そして自分は白だ」「自分は白なのだからそうでない奴は黒であり、黒は容赦なく叩いてよい、なぜなら黒は黒だからだ」みたいな人たちだから、しょうがないのか…

お知らせ

新着記事のお知らせです。 「解説する者」と「解説される者」との関係 ヤンキー先生こと義家弘介氏ら、国会議員による素手でトイレを掃除する運動の起源についても、ちょこっとだけ触れてます。

lmnopqrstu氏への回答

http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20090403/p1 へのブコメに関連したhttp://d.hatena.ne.jp/lmnopqrstu/20090405/1238904940 への応答 現在のブコメは下 ↑↓「少数者」を理念化しすぎでは。それは「感情移入」に過ぎぬのでは。「少数者」は顔のない集団ではない…

zames_maki 氏へのお返事

http://d.hatena.ne.jp/PledgeCrew/20090330#c1238779521 >なんかくだらないな。 君の雰囲気がわかってとても面白いですね。>そういう違いがあることも頭に入れておいたほうがいいよ、と言っているの。 なるほど、あなたは「そういうアイデアもあるよ」と…

「反ユダヤ主義」についてのメモ

日本は、先進国の中で「反ユダヤ主義」的書物が公然と出版され、また多くの読者に公然と読まれている唯一の国だということがよく言われる。その理由は簡単であり、歴史的にユダヤ人問題がこの国には存在せず、したがって「反ユダヤ主義」をめぐる問題の深刻…

民族性と民族主義は別の問題(一部修正・追記)

「民族性」というものは、その自覚の有無にかかわらず、おそらく数千年だか数万年だか前から存在する。しかし、「民族主義」はそのような「民族性」の自覚の上に成り立ったものであり、たかだか100年から200年の歴史しかない近代の問題だ。なので、この二つ…

zames_maki氏への回答

id:zames_maki氏の下のコメントへの回答 引用はzames_maki氏のコメントからhttp://d.hatena.ne.jp/PledgeCrew/20090325#c1238348720 >イスラエルやアメリカによる「プロパガンダ」は、様々な形であるでしょう。それは、どこの国でも同じこと 日本でもアメリ…

新着記事のお知らせ

ネット上の「怪人」たち あんなこととか、こんなこととか。 桜の季節なので、三島由紀夫の『仮面の告白』の一節を引用。 花は不思議と媚めかしく見えた。花にとっての衣装ともいうべき紅白の幕や茶店の賑わいや花見の群集や風船屋や風車売りがどこにもいない…

石原吉郎の言葉

旧満州に侵攻してきたソビエト軍に「戦犯容疑者」としてシベリアに連行され、25年の重労働の刑を宣告されたのち、スターリンが死去した1953年に、「特赦」によって帰国した詩人、石原吉郎の言葉。ちくま文庫『望郷と海』に収められた「確認されない死の中で…

野原燐さんへの質問

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20090323 イラク戦争にあたってマスコミから垂れ流された多量かつ多様なプロパガンダを考えるとき*1、数十年に渡るイスラエル支持を維持するためには膨大なプロパガンダ努力がおしみなくつぎこまれたと考えることは妥当な推測…

過去記事の宣伝

「坂のある非風景」に、キャンディーズについて論じた それまでの女をすべて含む女 という記事があがっている。三極構造の持つ特殊性については、以前下のような記事を書いた。 二極構造と三極構造について この中で、山口百恵と桜田淳子、森昌子の中三トリ…

「ありうる陰謀」と「ありえない陰謀」

物事には、なんでも「似ているところ」と「違うところ」が存在する。したがって、どんなものでも抽象化のレベルしだいで、一つにまとめることもできれば、別々に分けることもできる。ただ、一般的に言うと、一見して似ているもの同士の場合には、「似ている…

それはただの「自己陶酔」

なんだか既視感たっぷりのことを得々と言っている人がいますね。そんなものは、全然新しくもなんともないというのに。いまさらあらためて批判しなければならないほどのことでもないので、「陰謀論」に関する過去記事へのリンクだけ張っておきます。直接の論…

馬鹿馬鹿しくて屁も出ない

http://d.hatena.ne.jp/negative_dialektik/20090317/1237279039 わたくしも以前は、人並みに(?)、「歴史修正主義」という言葉を聞いただけで、悪魔の手先か何かのように感じていたものでしたが、今では、そのようなアレルギー反応は、克服しております。…

ご連絡

楽天のほうに書いた記事です。 さよならだけが人生だ?

「正論原理主義」なる言葉について

原理主義という言葉は、もともと自己の宗教の経典や宗教的禁忌を絶対視する思想を指す fundamentalism の訳語にすぎないのであって、なにも「イスラム原理主義」に限られるわけではないし、それ自体がつねに否定的な価値判断を伴っているわけでもない。世界…

お知らせ

楽天の方に書いた記事です。 「サムライ」は日本人の代名詞なのか?

「批判」にもなっていないことへの反論

http://d.hatena.ne.jp/PledgeCrew/20090224 からの続き 村上のスピーチに対して、パレスチナ側の人から不満が出ているとしても、それはあのスピーチが「イスラエル擁護」であり、村上の立場が「親イスラエル」だと主張する根拠にはならない。そもそも彼がイ…

まだ分からない人のために

いまさらこんなことを言うのも馬鹿馬鹿しい話だが、なにかを批判するときは自分の責任を棚に上げてはならないというのは、全然間違っていない。 自分の責任を棚に上げた批判など、ただの無責任な言論にすぎないなんてことは、それこそ小学生にも分かることだ…

あまりにも虚しい(虚しい)TBレスへの応答

http://d.hatena.ne.jp/negative_dialektik/20090225/1235522675 夏目漱石を読もう、 大岡昇平を読もう、 深沢七郎を読もう、 蓮實重彦を読もう、 フローベールを読もう、 アドルノを読もう、 田川健三を読もう、 ……と考えるだけだ。 (馬鹿馬鹿しいオマケ)…

とりあえず一言

http://d.hatena.ne.jp/negative_dialektik/20090219/1235005380 そこには、自らの利益、政治的優位や経済的優位を絶対のものにするためにシステムを築きあげた存在と、そのシステムに抑圧され、厭々ながら従わされている存在とが、ごっちゃにされています。…